シンガポールの熱帯気候はバリのそれとそれほど変わりません。高温多湿で、年間を通じて雨が降ります。そのため、通風や日陰対策についてはデザートや温帯の市場に比べて飛躍が少なくて済みます。異なるのは土地の条件です。区画は狭く、建物は高層かつ密集しており、都市再開発庁(URA)は「Landscaping for Urban Spaces and High-Rises(LUSH)」のような制度とあわせて、緑化やセットバックの規定を求めています。これらは、低密度なバリのヴィラ案件ではほとんど考慮する必要のないものです。グリーンマーク認証(サステナビリティ認証)も、大規模な住宅・ホスピタリティプロジェクトでは一般的な最低基準として求められます。
熱帯地域における通風、植栽との一体化、室内外一体の生活空間に関する事務所の経験は、このリストにある他の多くの市場以上に、シンガポールの気候に対して本質的な関連性があります。不足しているのは、シンガポールの規制環境や垂直・高密度の施工に関する実績です。事務所の竣工実績はヴィラ規模の低層建築にとどまっているためです。シンガポールでの最初のプロジェクトには、都市計画申請、構造設計、法規適合を担うシンガポール有資格建築士が必要となり、事務所はデザインの方向性とインテリアデザインで貢献することになります。
ランドドハウス、すなわちシンガポールのアパートメントタワーと並んで存在する二世帯住宅やバンガロー物件は、事務所がふだん手がけているヴィラ規模の仕事に最も近いものです。高層住戸には収まらない庭や中庭の計画をより多く取り入れられるためです。
シンガポールでの竣工実績はありますか。 現時点ではありません。事務所の竣工実績はバリとインドネシアに限られており、シンガポールは新しい市場となります。
バリでの熱帯建築の経験は実際にここで活かせますか。 部分的には活かせます。気候面の考え方は、デザートや温帯の都市に比べて重なる部分が多いものの、シンガポールの密度、高さ、都市計画規制については、事務所が社内に持っていない現地の専門知識が必要です。